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ブレイキングバッド アメリカドラマ 感想

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久しぶりに米ドラマがみたくなり、米ドラマベストで検索をかけると、ブレイキングバッドというドラマが必ずと言っていい程に候補にあがってくる。アメリカ史上最高ドラマとさえ言われている程だ。長い間米ドラマはご無沙汰だったので、このドラマは失礼ながら全く知らなかった。ただ海外ドラマは米ドラマに限らず話数が多いので、視聴をどうしようか思っていたところ、パンツ姿で荒野に立っている冴えなさそうな中高年おやじの主人公ウォルターの作品画像が目についた。冴えなさそうなおやじが主人公のドラマや映画は経験上おもしろいことが多いのだ。少なくともイケメンばかりのキャストものよりかは。そういうことで1か月で全部視聴し終えた。当然寝不足である。

ストーリー的には複雑ではない。超簡単に言えば、金のない中年おやじが麻薬製造にはまり、自滅していくだけのストーリである。主人公は人気のない中年おやじの化学教師。妻とその妹は一癖あり。子供は脳性まひ。義兄は麻薬捜査官。冷徹な麻薬元締め。自己中の弁護士。そして親子ほど年の離れた麻薬製造のパートナー。それらの登場人物が絡み合い、中年おやじのウォルターは麻薬製造にはまり自滅していく過程を62話で丁寧に描いていく。ミステリアスでもお涙頂戴でもない。主人公以外のキャストもそれぞれ丁寧に描いている。そこは10話から12話ぐらいでほとんど終わってしまう日本ドラマとは違う。

全部見終わっての結論から言うと、ストーリー自体はよくある感じなので、アメリカ史上最高ドラマと呼ぶには疑問符が付くが、登場人物のキャラが際立っていて、面白いドラマであることには間違いない。ベスト5に入る。

ところで、視聴中によく思い浮かんだのは心理学で意識を説明するときによくでてくる氷山の図である。

 

 

意識は顕在意識(5%ぐらい)と無意識(95%ぐらい)とわけられるが、ウォルターの無意識に抑えられていた部分が波打って表出されてくる感じである。

フロイト流に言えばウォルターの無意識のイド(快感原則)と超自我(理性)が強すぎる為、自我(イドと超自我の調整役)が侵食されていく感じである。

中高年だれもが欲(イド)とプレッシャー(超自我)のはざまで揺れているウォルターなのである。他人事ではないよ。

主人公ウォルターが化学教師であるということは暗喩的である。ウォルターという元素が他の登場人物の元素と絡み合い触媒を媒介に化学変化をおこしていく。その化合物の出来はいかに?生きるとは化学変化そのものである。結びつく元素によっては猛毒の化合物が出来上がる。欲の元素表なるものがあるとしたら、人間は全ての存在する欲の元素を含んでいる。善欲の元素も悪欲の元素も。ウォルターが人生において出会った自滅につながる触媒とは?それがこのドラマのテーマのような気がする。そんなことを考えながらみるのもおもしろい。

 

現在ネットフリックスで視聴できます。